■ はじめに
建築物などの防水に用いられる材料・工法には数多くの種類があります。新規に防水を設計する、あるいは防水の改修を計画する場合は、これら材料の特性、工法の特徴を充分考慮する必要があります。
ここでは、現在国内で使用されている主な防水工法について、できるだけ公平な見方で比較しましたので、工法の検討・設計を行う上での参考にして頂けると幸いです。

■ 各種防水工法の比較
防水工法の分類については、国土交通省の建築工事標準仕様書に従って行いました。比較は材料面と工法面の両方から行っています。

 アスファルト防水改質アスファルト防水シート防水塗膜防水
概要現場でアスファルトを加熱・溶融し、溶けたアスファルトを下地に流しながらルーフィング類を張り付ける工法。通常この工程を2〜4回程度繰り返す。ポリマー類で改質されたアスファルト系シートを下地に張り付ける工法。張り付け方には、シートをトーチで炙る方法やシートの粘着性を利用して張り付ける方法等がある。加硫ゴムシートや塩化ビニル系シートを下地に張り付ける工法。張り付け方には、接着剤を使用する方法、機械的に下地に固定する方法等がある。ウレタン等の液状の樹脂を下地に塗布し、硬化させて防水層とする工法。通常、不織布などを補強材として併用する。
歴史国内では明治時代から施工されており、長い歴史を有する。欧米から導入された工法で、国内での歴史は比較的浅い。昭和30年代の高分子化学の発展とともに広がった工法。シート防水と同様の歴史。
長所積層型なので接合部の信頼性がある。
材料は大量生産されており、安価である。
施工時の煙・臭気などの発生が少ない。
アスファルトの持つ欠点が改良されている。
工場で生産されるため、品質は一定である。
合成高分子系シートは強度・伸びが大きい。
全面シームレスな層になるので、接合部の不安がない。
複雑な部位での信頼性が高い。
短所施工時に煙や臭気等の近隣公害が発生する。
高温及び低温時の性能がやや劣る。
単層仕様が多く、防水の信頼性は施工者の技能に依存するところが大きい。
下地には軟接着であるため、膨れが発生しやすい。
単層仕様が多く、防水の信頼性はシート接合部の処理に依存する。
薄手のシートでは耐衝撃性などがやや劣る。
下地の影響を受けやすく、場所により塗膜の厚さのムラが出やすい。
耐候性がやや劣る。
最適な用途新築物件で、押えコンクリート等の保護層が設けられる仕様の場合。改修物件で、既存露出アスファルト防水にかぶせで改修する場合。塩ビシートでは機械的固定工法で既存防水にかぶせで改修する場合。役物等が多く、複雑な形状の屋根に施工する場合。
注意点施工現場にアスファルト溶融釜を設置するので、煙・臭気・汚れ等への対策が必要である。信頼できる施工業者を選定する必要がある。強風地域での風対策、鳥害対策等を考慮する必要がある。施工時の溶剤の揮散・臭気の発生等への対策が必要である。

■ 塗膜防水工法の比較
塗膜防水工法の中で現在一般的に採用されている、ウレタン塗膜防水、FRP塗膜防水、及びウレタン/FRP複合防水についての比較です。

 ウレタン塗膜防水FRP塗膜防水ウレタン/FRP複合防水
工法の概要二液性のウレタン樹脂を混合し、合成繊維不織布などを補強材として下地に塗布する工法。一液性の樹脂を使用する場合もある。液状のポリエステル樹脂に少量の硬化剤を混合し、ガラスマットなどを補強材として下地に塗布する工法。ウレタン樹脂を下層に塗布し、上層にFRP樹脂を塗布する工法。両層の間には層間プライマーを使用する。
工法の長所樹脂にセルフレベリング性があり、表面が平滑に仕上がる。
塗膜は伸びが大きい。
樹脂の硬化速度が速く、1日ですべての工程を終了させることが可能。
塗膜は強度が大きい。
ウレタンの柔軟性とFRPの強靭性の両者の特長を兼ね備えた工法で、従来の防水工法では対応できなかった分野にも広がりつつある。。
工法の短所樹脂の硬化に長時間を要する。塗り重ねの場合は翌日施工になる場合が多い。樹脂にはスチレン特有の臭気があり、施工時に近隣から苦情が出ることもある。ウレタンとFRP層間の処理を誤ると界面の接着力が落ち、剥離等トラブルの原因になることがある。

なお、塗膜防水材についての一般的説明はこちら、FRP防水材についての一般的説明はこちら、をそれぞれご参照ください。


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